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2018年1月11日木曜日

TSONTS-19 萬葉学会の何が問題か(4)

Q4. なぜク語法の論文をブログに公開したのですか。
A4. 査読者による盗用を防ぐためです。萬葉学会は何ら盗用対策を講じていません。

高山善行(2005)の問題点(6) 引用すべき論文が引用されていないに書きましたが、村上陽一郎(1994)の第5章の「窃盗同様の行為」の節から引用します。


もっと極端な事例として知られるのは、次のようなレフェリー絡みの話である。興味深い内容の論文原稿があるレフェリーの手許に回ってきた。そのレフェリーは、その論文にケチを付けて、著者に変更の要求とともに返送すべきである、という審査結果を出した。編集委員会が、この結果に基づいて手続きをしている聞に、このレフェリーは、当の論文の重要な部分を自分の論文に仕上げて、さっさと審査を通過させ、発表してしまった、というのである。これでは、窃盗と言われでも仕方あるまい。


そういうことが起こりうることは誰もが予想することです。国際的な学会では、投稿した原稿のコピーのすべてのページに渡る日付の入った受領の穿孔印を押して返却するなど、何年何月何日にどういう内容の投稿をしたかの証明が為されます。萬葉学会ではそのような初歩的な対策さえ為されていません。

あなたは知らない人に領収書もなく現金を預けますか。学会誌へ投稿するということはそれと同じです。アイデアのような形のないものは盗んでも証拠が残りません。

人間の記憶力は曖昧です。誰かから聞いた話や何かで読んだ話であっても、年月の立つうちに、自分が昔から考えていた、となるのです。また、他人のアイデアを聞いても、そこに自分の考えを付け加えれば、二人の共同のアイデアでなく、自分だけのものと思う人もあります。

安田尚道(2003)のような事例は石塚龍麿が自分のアイデアを書き止めていたからこそ明らかになったのです。国語学の雑誌に論文を投稿し、それが査読者に犯意がなくても結果として登用されることがないとは言えません。


参考文献
村上陽一郎(1994)『科学者とは何か』(新潮社)
安田尚道(2003) 「石塚龍麿と橋本進吉--上代特殊仮名遣の研究史を再検討する」 『国語学』 54(2), p1-14, 2003-04-01

 

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